先に結論を書きます。 審査請求を出す先は、原則として処分庁の最上級行政庁。上級行政庁がなければ処分庁そのものです(行政不服審査法4条)。期限は2本あり、「処分があったことを知った日の翌日から3か月」と「処分があった日の翌日から1年」の、先に来たほうで終わりです(18条)。そして、審査請求を出しただけでは処分は止まりません(25条1項)。
役所から不許可の通知が来た。納得できないので審査請求を出したい。いつまでに出せるでしょうか。
- 3か月
- 1年
- 締め切りが2本あって、先に来たほうで終わり
答えは3です。
行政法に勉強時間の34%を使っても、壁の手前でした

本題の前に、私の話を少し。受かった年の勉強時間を集計したら、全体の約34%が行政法でした。時間にすると7日と11時間5分。ぶっ通しで1週間ちょっとです。
それだけやって、本試験では正答率70%以上の問題を8問落としています(全科目で)。普段の模試なら2〜3問だったのに、本番で8問。「行政法は13〜14問なら誰でも取れる、15問からが壁」という話で言えば、私は壁の前で止まっていました。
だから今回は、条文をそのまま読みます。 読むだけで取れるところだからです。
登場人物は三つです。
- 申請した人(例:アキラさん)
- 処分庁=処分をした役所
- 審査庁=審査請求を受けて判断する役所
審査請求の対象は処分だけではありません。3条で「不作為」も対象になっています。申請したのに相当の期間が経っても何もしてくれない、というのも審査請求できます。
どこに出すのか(4条)

- 原則=処分庁の最上級行政庁(4条4号)。処分をした役所の、いちばん上です。
- 引っかけ=上級行政庁がない場合は、処分庁そのものが審査庁になります(4条1号)。自分のところで出した処分を、自分のところで審査する。少し変な感じがしますが、条文どおりです。
そして大事なのが4条の書き出しです。「法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか」。つまり、個別の法律に「ここへ出しなさい」と書いてあれば、そちらが優先です。行政不服審査法は、あくまで一般法です。
(主任の大臣や、宮内庁長官・外局の長が関係する場合の区分も4条にあります。細部は条文で確認してください。)
いつまでに出すのか(18条)=締め切りは2本

ここが本丸です。
| 起算点 | 期間 | 条文 | |
|---|---|---|---|
| 1本目 | 処分があったことを知った日の翌日から | 3か月 | 18条1項 |
| 2本目 | 処分があった日の翌日から | 1年 | 18条2項 |
1本目は「知った日」から、2本目は「あった日」から。起算点が違います。 試験ではここを入れ替えて出してきます。
両方とも生きているので、先に来たほうで終わりです。知っていれば3か月が先に来ますし、知らないまま1年経てば2項で切れます。
そして、どちらにもただし書があります。「正当な理由があるときは、この限りでない」。だから「3か月を過ぎたら一切ダメ」とは、条文には書いてありません。
細かいところでは、18条3項で、審査請求書を郵便などで出した場合、送付にかかった日数は期間に算入しないとされています。私は沖縄なので、東京に郵送すると3日かかります。ありがたい規定です。
(処分について再調査の請求をしたときは、起算点と期間が別に定められています。18条1項・2項のかっこ書きを確認してください。)
出したあとの流れと、出しただけでは止まらないこと

出したあとの流れも、試験で聞かれます。
- 審査庁は審理員を指名する(9条)。審理員は審査庁に所属する職員の中から選ばれます。外部の人ではありません。
- 審理員が調べて審理員意見書を出す。
- 審査庁は、原則として行政不服審査会などに諮問しなければならない(43条)。
- 答申を受けたら、遅滞なく裁決(44条)。
そして、いちばん大事なこと。審査請求を出しても、処分の効力は止まりません。 25条1項「審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない」。止めたいなら、別に執行停止を求める必要があります。
もう一つ。82条の教示。役所は、不服申立てができる処分をするとき、「不服申立てができること」「どこへ出すか」「いつまでか」を書面で教えなければなりません。 通知書の下に小さく書いてあるあの文、あれは条文上の義務です。
確認の3問
- 問1 処分を知った日の翌日から3か月を過ぎたら、審査請求は一切できない? → ×。 18条1項ただし書「正当な理由があるときは、この限りでない」。「一切」と出てきたら、ただし書を疑う。
- 問2 処分庁に上級行政庁がないときは、その処分庁に審査請求をする? → ○。 4条1号。
- 問3 審査請求をすれば、処分の効力は止まる? → ×。 25条1項。止めるには執行停止。
最後に私のやり方を一つ。条文問題を落としていたので、「あれなんだっけ」と思ったら放置せずすぐ調べるようにしていました。車の助手席にもLECの六法を置いていたくらいです。いつでも条文を開ける状態にしておくのは、おすすめです。
まとめ
- 審査請求の対象は処分だけでなく、不作為も(3条)
- 出す先は原則「最上級行政庁」、上級行政庁がなければ「処分庁そのもの」(4条)。個別の法律の定めが優先
- 期限は2本。「知った日の翌日から3か月」と「あった日の翌日から1年」の、先に来たほう(18条1項・2項)
- どちらにも「正当な理由」のただし書がある。郵送の日数は算入しない(18条3項)
- 審理員の指名(9条)→ 審理員意見書 → 諮問(43条)→ 遅滞なく裁決(44条)
- 審査請求を出しても処分は止まらない(25条1項)。役所には書面で教示する義務がある(82条)
よくある質問
Q. 処分から3か月を過ぎたら、もう審査請求はできませんか? A. 18条1項にも2項にも「正当な理由があるときは、この限りでない」というただし書があります。「一切できない」とは条文に書かれていません。
Q. 審査請求をすれば、営業停止などの処分は止まりますか? A. 止まりません。25条1項で、審査請求は処分の効力・執行・手続の続行を妨げないとされています。止めたい場合は執行停止を求めます。
Q. 審理員は外部の専門家ですか? A. 9条で、審理員は審査庁に所属する職員のうちから指名するとされています。
出典
- 審査請求、どこに・いつまでに出すか(YouTube)
- 行政不服審査法 3条・4条・9条・18条・25条・43条・44条・82条(e-Gov法令検索で条文を確認)
