先に結論を書きます。 宅建の「短期合格」は、受験経験値・勉強体力・時間確保という3つの条件がそろっている人になら可能です。ただし、無理してまで短期にこだわる必要はありません。もう一つ、「過去問はもう意味がない」という声もよく見ますが、これも思い込みです。過去問を使い切れていないだけで、条件はどちらも同じだと思っています。
この動画を撮った2023年、私は宅建・FP2級・行政書士の3資格に挑戦しました(撮影時点で行政書士は結果発表前でした)。宅建とFP2級は合格できたので、宅建についてはお話しできる程度の勉強はしてきました。今回は、宅建受験生の間でよく聞く2つの思い込み、「短期間で合格できる」と「過去問はもう意味がない」を検証します。
「宅建は短期で受かる」は誰の話か — 3つの条件

今回、短期合格を「3ヶ月以内、あるいは300時間以内の一発合格」と定義しました。必要なのは受験経験値・勉強体力・時間確保の3条件です。受験経験値と勉強体力は、短期で受かる人の多くがもともと受験慣れしているために備わっています。
私自身は工業高校卒の推薦入学で、高校受験すらしていません。初めて宅建の本を開いたときは問題文の意味も分からず、単語を調べるだけで時間がかかり、20分で頭が沸騰したような感覚になってやめてしまうこともありました。そこで25分勉強・5分休憩(ときには10分)のポモドーロ式で、少しずつ体力をつけていきました。
家族に頼み込んでひねり出した月80〜100時間

社会人にとって一番ハードルが高いのが時間の確保です。3ヶ月300時間で合格するには1日3時間必要で、1日1時間しか取れない人が休日にまとめて取り返そうとしても、月100時間には届きません。
私自身、2023年は月80〜100時間を確保しました。80時間までは何とかなりましたが、100時間を目指すには家族の協力が必須で、妻に「子どもの面倒を見られないので、仕事が終わったらすぐ勉強させてほしい」と頼み、帰宅後すぐ机に向かう生活でようやく達成できた月もあります。
家庭を犠牲にしてまで短期合格にこだわる必要があるのか、というのが実感です。条件がそろえば可能ですが、無理してやる必要はありません。自分の生活に合ったスケジュールで、長期で合格を目指すのも十分ありです。
SNSの「1週間で合格」を鵜呑みにしない

YouTubeやXでは「宅建なんて1か月で取れる」「3週間で取れた」という投稿が目立ちます。嘘ではないと思いますが、実際に確認すると「1週間で合格した」方は東京大学卒で不動産鑑定士の資格も持ち、「1ヶ月で合格した」方は司法書士や弁護士の先生でした。普通の受験生ではなく、自分に重なる要素があるかで判断すればいいと思います。
「3回落ちたら諦めろ」という根拠のない悪意のコメントも見かけますが、繰り返し勉強した知識は長期記憶になり、何度も受け続けた人の方が受かりやすくなります。私自身、2023年の宅建の勉強時間が100時間ほどで済んだのは、何度も落ちて同じ論点を繰り返してきたからです。宅建に合格すると、民法・税法が重なる行政書士やFPにも挑戦しやすくなります。
「裏技」「超効率化」に踊らされる必要もありません。私が使っていたのは、間違えた問題だけに付箋を貼って繰り返す「圧縮回転」という方法です。
- 1〜3周目はテキストを見ずに読み物として通す
- 4周目から正解に丸、不正解に×をつける
- 5周目は×だけを解き直す(100問ほどに圧縮される)
- 6周目に全問を解き直し、7周目で×をゼロにする
500問ある分野別の問題集を、素直に7周するより早く、4〜5か月ほどで一周させていました。
「過去問は意味がない」も思い込みでした

ここからは、もう1つの思い込みです。「宅建は難化しすぎて過去問は意味がない」という声もよく見ますが、これも思い込みだと思っています。過去問が意味ないと感じるのは、テキストと過去問を行き来する勉強を、まだ最高度まで周回できていないだけです。かつて同じように感じていた自分への反省でもあります。
宅建系YouTubeで知られる棚田先生がよく話す「周辺知識」という考え方があります。「買主に不利な特約は原則無効」という論点だけでなく、「引き渡しから2年以上となる特約は有効」という例外規定までセットで覚える。覚える範囲を絞りつつ、論点はセットで押さえるという考え方です。
過去問1問の読み落とし7文字と、ABCランクの使い方
平成15年の過去問を例にします。「宅建業者Aが宅建業法の無免許営業の禁止に違反して宅建業を営み、懲役1年執行猶予3年及び罰金10万円の刑に処せられ登録を消除された。執行猶予期間が満了すれば、その翌日から登録を受けられる」という設問で、正解は「誤り」です。罰金刑は5年を経過しないと登録を受けられないという知識が必要で、たった7文字の「及び罰金10万円」を読み落とすだけで正解が変わります。私自身、2023年にこの問題に引っかかりました。
私が使っていた分野別の問題集にはAランク(正解率80%以上・本試験で29問以上出題)、Bランク(50〜70%・15問以上)という重要度が記載され、AとBを押さえることが合否を分けます。正解率25.2%の相続問題(2017年問6)でもAランクとされているのは、「今年また狙われる」というメッセージだと受け取っています。過去問に加え、法改正の論点を含む予想模試も必須です。基礎ができていないうちに模試をやると、点数がつかず落ち込むだけになりがちです。
一番難しいと感じたのは2021年10月の本試験で、当時は「過去問は意味がない」と感じましたが、今思えば勉強不足でした。2022年も合格基準36点(私は35点で不合格)で、宅建業法で点を稼いだ人がボーダーを越えています。「過去問だけで受かった」という話も、実はテキストや検索を併用していることが多く、鵜呑みにしない方がいいです。今年の傾向では、権利関係は7点では足りず10点を目指すべきというのが個人的な感覚です。
まとめ
- 宅建の短期合格には受験経験値・勉強体力・時間確保の3条件が必要。無理してこだわる必要はない
- 「1週間で合格」のような投稿は勉強慣れした人の話であることが多い。自分に重なる要素があるかで判断する
- 「3回落ちたら諦めろ」は根拠のない雑音。繰り返し勉強した知識は長期記憶になる
- 間違えた問題に付箋を貼って繰り返す「圧縮回転」で効率よく周回できる
- 「過去問は意味がない」は、テキストと過去問を行き来する勉強がまだ足りていないだけ
- ABCランクを意識して優先順位をつける。過去問だけでなく予想模試も必須
よくある質問
Q. 宅建は本当に短期間で合格できますか? A. 受験経験値・勉強体力・時間確保の3条件がそろっていれば可能です。そろっていない人が無理に短期を狙う必要はありません。
Q. 過去問だけで宅建に合格できますか? A. テキストと過去問を行き来する勉強を十分に周回できていれば対応できる問題は多いです。ただし法改正の論点は過去問だけでは補えないので、予想模試も併用した方がいいと思います。
Q. SNSの「1週間で合格」のような投稿はどう受け止めればいいですか? A. 実際に調べると東大卒で不動産鑑定士の資格を持つ方や、司法書士・弁護士の先生だったりします。自分に重なる要素があるかで、参考にするかを判断すればいいと思います。
