先に結論を書きます。 宅建士試験に落ちたとき、「人それぞれだから気にするな」と言われて、釈然としない気持ちになったことはないでしょうか。私はこの言葉、実はいちばん正確な励まし方だと思っています。短期間で受かる人は、宅建の勉強を始める前から、すでに思考力や勉強のやり方を積み上げているからです。比較して落ち込む必要はありません。足りないのは能力ではなく、勉強経験値だけです。
これは2024年4月に公開した「宅建士ラジオ」という動画をもとにしています。宅建士試験に落ちた人にかける言葉として、「人それぞれだから気にするな」という言い方があります。言い方によっては無責任に聞こえるかもしれません。でも私は、これ以外の励まし方はなかなか無いんじゃないかと思っています。今日はこの「人それぞれ」の正体について、もう少し詳しく話していきたいと思います。
「人それぞれ」は無責任な言葉ではありません

宅建士試験の合格点は相対評価なので、毎年変わります。36点の年もあれば38点の年もあるし、もっと低い年もあります。受験生のレベル感や試験の難易度によって、大きく変わるわけです。
人と自分を比較しても、何も解決しません。「人それぞれなんだから落ち込むな」という言葉は、それを非常に簡単に表現できてしまう分、乱暴に聞こえてしまうんだと思います。でも本当に、人それぞれでしかないと思っています。
宅建士受験生レベル10、届かなかった私の話

宅建士の合格に必要なレベルを、分かりやすく数字にしてみます。合格に必要な最低レベルを「10」とします。
私のケースで言うと、高校時代にろくに勉強してこなかったですし、当然大学にも行っていません。そんな高卒の私が、宅建を独学でなんとか頑張ってみた結果、34点基準の年に29点で落ちたということがありました。その時の自分のレベルは、宅建士受験生レベル10に対して4ぐらいかなと仮定しています。動画の中では、この状態の自分を「高卒独学リベンジャー」と名付けていました。
同じ独学でも「Cランカー」との差はどこにあるか

一方で、比較対象として「Cランク大学の出身者」、略して「Cランカー」を置いてみます。高卒の私が説明するのもおかしな話ですが、Aランクを東大とすると、A・B・C・D・E・Fとランクがあり、Cランクは偏差値60以上ぐらいのイメージです。
Cランカーは、私と比べると思春期・青春時代に予備校に通ったり、学校が終わったらすぐに家に帰ってずっと勉強してるような、とても真面目な人たちです。私がアルバイトで一喜一憂していた青春時代、彼らは勉強で一喜一憂していたわけです。
彼らは宅建の知識はまだ無くても、思考力が高くて、勉強の効率的な方法も忍耐力も備わっていて、リテラシーが高く地頭もいい。宅建の勉強を何もしていない状態でいきなり問題を解かせても、時間さえかければ29点ぐらい取れてしまうんじゃないか、と思うくらいです。つまり彼らは、宅建士受験生レベル10に対して、勉強を始める時点ですでに6ぐらいはあると考えた方がよさそうです。
さらに、独学の進み方そのものも違います。Cランカーは自分の勉強の仕方が分かっていて、それが正しい勉強であるという確信もあるので、正しい独学ができます。分からないことがあっても、分かるまでしっかり追求していきます。だからレベル6から10までのステップが異常に早く、本試験の頃にはレベル20ぐらいになっている。短期間でオーバーキルしてしまうわけです。
野球経験8年と、生涯300回の差

これを野球で例えてみます。野球経験者は、小中高と8年間野球をしてきました。素振りの回数で言うと、1日100回として年300日、1年で3万回、8年で24万回です。一方、全く野球をしてこなかった未経験者は、人生で多く見積もっても300スイングぐらいです。
この2人をバッティングセンターの140km/hのゲージに閉じ込めて、ホームラン競争をさせたとします。当然、野球経験者が圧倒的に有利です。未経験者はバットにかすりもしないでお終いになってしまう一方、経験者は綺麗なフォームでどんどん打ち返していきます。
これが、宅建の受験の世界でも起きていることです。勉強の世界は背景が見えにくいものです。SNSには短期間で受かる人がたくさん出てきますが、その人たちが今まで何をやってきたのかは見えません。「この人は3ヶ月で宅建に受かっているのに、自分は1年やっても2年やっても受からない」とすごい人と自分を比較して、卑下したり落ち込んだりすることがよくあります。この比較による落胆や自信喪失は、大きな間違いです。
「人それぞれ」の正体は、勉強経験値の差です
3ヶ月で受かる人は、それまでの長い人生の中ですごく勉強してきた時期があり、そこで鍛えられた思考力や洞察力などを宅建試験に活かせた結果です。つまり、同じような経験を積めば、それに並ぶことも可能だということです。正しい勉強方法を知り、正しい知識を学ぶことによって、近づくことができます。
あなたの能力が低いんじゃなくて、すごい人と比べた結果、明らかに勉強経験値が足りないよね、というだけの話です。これが、「人それぞれだから気にするな」の正体だと思っています。
まとめ
- 「人それぞれだから気にするな」は無責任な言葉ではなく、比較しても解決しないという意味で正しい
- 宅建士試験の合格点は相対評価で毎年変わる(36点の年もあれば38点の年もある)
- 私は高校時代に勉強せず大学にも行かず、独学で宅建に挑み基準点に届かず不合格になった経験がある
- 短期間で受かる人(Cランカー)は、宅建の勉強を始める前からすでに思考力や勉強の仕方が積み上がっている
- 野球で8年間素振りしてきた人と生涯300回程度の人では、バッティングセンターでの結果に歴然と差が出る。これが宅建の世界でも起きている
- SNSには結果しか見えず、それまでの背景は見えない。短期合格者と自分を比較して落ち込むのは大きな間違い
- 「人それぞれ」の正体は能力の差ではなく勉強経験値の差。正しい勉強法と知識を積めば近づける
よくある質問
Q. 「人それぞれだから気にするな」と言われて、納得できません。無責任じゃないですか? A. 私はそう思いません。比較しても何も解決しないという意味で、実はいちばん正確な言葉だと思っています。ただ、簡単に言い切れてしまう分、乱暴に聞こえやすいだけだと思います。
Q. 短期間で宅建に受かる人と自分を比べて落ち込みます。どう考えればいいですか? A. その人は宅建の勉強を始める前から、思考力や勉強のやり方をすでに積み上げています。SNSに出てくるのは結果だけで、その背景は見えません。それだけで自分の能力が低いと結論づける必要はないと思います。
Q. 独学で宅建に挑んで基準点に届きませんでした。向いていないということでしょうか? A. 私自身、高校時代に勉強してこず大学にも行かないまま独学で挑んで、基準点に届かず不合格になったことがあります。足りなかったのは能力ではなく、勉強経験値だったと思っています。正しい勉強法を知り、正しい知識を積み重ねれば近づけます。
