合格した年の10月、私は家族から160時間をもらっていた|申し訳なさを抱えたまま勉強した社会人受験生の3つの約束

夜の稽古に出る狩人に、弁当を持たせる女将

夜、カフェで勉強していて、ふっと顔を上げると外が真っ暗になっている。今日も家に帰らず、家族を放って勉強しているな。申し訳ないな。行政書士の勉強をしていた間、この気持ちはずっとありました。

直前期のいま、同じ気持ちで机に向かっている社会人の受験生は多いと思います。その気持ちは間違っていないと思います。勉強している時間は、誰かの時間だからです。

それを認めたうえで、私が何をしたかを書きます。

目次

2025年、勉強の時間はどこから来ていたか

閉まったあとの受付で、灯りの下で本を開く猫の相棒

合格した2025年の自分の発言を振り返ると、勉強の時間はこう作っていました。

時期勉強の時間の作り方
5月夜9時半に子どもを寝かしつけて一緒に眠り、1時半ごろ目が覚めたら、そこから2時間ほど
6月夕食後のテレビの30分からお風呂まで。寝る前に10分だけ問題を解き、寝落ちしたら夜中の2時半から
8月休みの日の午後に、7時間。妻が体調を崩して私が3日ほど子どもを見た週は、7時間だけ
10月どこにも出かけず、1か月で160時間。休みの日は事務所にこもった

目標にしていた週21時間(1日3時間)は、この年は一度も続きませんでした。家族が起きている時間は、家族の時間です。私の普段の勉強は、家族が寝ている時間でした。

いちばん時間をもらったのは10月です。160時間も勉強した月は、それまで一度もありません。休みの日は来客のない事務所で一日中勉強し、模試を1回解くと、復習まで入れて3日ほど時間が飛びました。その間、家にいないのは私です。

8月に私は、休みの午後に7時間勉強できたことを「時間を与えていただいた」と話していました。もらった時間だと分かっていたのに、妻が寝込んだ週には「7時間しかできなかった」と言っています。「しか」と言っていたことに、後から気づいてはっとしました。

誰も悪くないのに、苦しい

このしんどさは、悪者がいないことです。私はさぼっていない。家族も気をつかってくれている。それでも、家の空気だけが重くなっていきます。

勉強しないと受からない。勉強すると家族の時間が消える。家族を優先すると落ちる。落ちたら来年もこれが続く。どこへ行っても苦しい輪です。

同じ年の3月には「いちばん大事なのは家族。勉強は毎回3番目」と言い、9月には「誰かを犠牲にしないと合格は成り立たない」とも言っています。どちらも本音でした。

私がやった3つのこと

卓を囲んで、先に話しておく狩人と女将
  1. 先に言う。勉強しか見えなくなる時期が来る前に、「ここから先は勉強だけさせてほしい」と家族に頼んでおく
  2. 終わりを決める。いつまでやるのか、何回まで受けるのか、いくらまで使うのか、受かったあとどう稼ぐのか、家族にどれくらい負担をかけるのか。これを決めずに「将来のためだから我慢して」だけで進むと、家族はかなり苦しくなると思います
  3. 埋め合わせを先に約束する。試験が終わったらどこへ行こうか、を先に決めておく。私は12月に家族でジャングリア(沖縄のテーマパーク)へ行きました

子どもとの時間は、お風呂の時間でした。浴室に憲法と行政法の条文を貼り、子どもと湯船に入りながら、ちらちら見ていました。

受験1年目には「これで受からなかったら離婚だからね」と言われました。4年目でも、家の中は円満でした。それでも、子どもが0歳から4歳までの思い出が少し抜け落ちている感覚があります。子どもが小さい時期は、戻ってきません。

壊れる前のサイン

合格は大事です。でも、合格する前に倒れてしまっては意味がありません。次のようなことが続いたら、休むサインだと思ってください。

  • 眠れない、食欲がない
  • 家族にきつく当たってしまう
  • 仕事でミスが増える
  • 勉強しても頭に入らない
  • 休んでいるのに罪悪感がある、何も楽しくない、ずっと焦っている

申し訳ないと思っていい。そのうえで、先に言って、終わりを決めて、埋め合わせを約束する。私がやったのは、それだけです。

この話を動画で見る

もとにした動画:「合格した年の十月、私は家族から160時間を奪いました」(YouTube・2026年9月29日)。文中の「2025年」は、私が行政書士試験に合格した年です。

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