先に結論を書きます。 人が作った語呂がスッと頭に入るなら、そのまま使えばいいと思います。でも、語呂そのものを覚えるためにまた暗記しているなら、覚えるものが一個増えています。 そういうところだけ、自分の言葉で語呂を作り直す。作ったら隠して元に戻れるか試し、最後に問題を一問解く。ここまでで一組です。
いきなりですが、知らないおじさんが握ったおにぎり、食べられますか。お店で買うものは別として、急に差し出されたら、ちょっと考えますよね。自分で作れば、具も塩加減も分かっています。形が少し変でも、自分の好きなようにできる。語呂合わせも同じだと思っています。
人の語呂が入らないと、覚えるものが一個増えます

語呂合わせには、得手・不得手があると思っています。
人の語呂を聞いて「うまいな」と思う。でも語呂そのものが頭に入らないと、それを覚えるためにまた暗記することになります。覚える量を減らしたかったのに、一個増えてしまう。
もちろん、スーッと入ってくる語呂はそのまま使えばいいんです。この記事は、どうしても引っかかるところだけ、自分の言葉で作ってみようという話です。
語呂の作り方と、「隠して戻れるか」の試し方

作るときの順番はこうです。
- 何を覚えるのかを見直す。 三つの項目を覚えたいのか。似た二つを区別したいのか。数字と、その数字を使う条件を覚えたいのか。ここが決まらないと、語呂は作れません。三つあるはずなのに二つしか説明できない、と気づいたら、そこが自分の抜けていたところです。
- 頭の一文字を取る。
- その文字から、元の言葉に戻れるかを考える。 戻れなければ、別の言葉にする。
語呂が完成するまでに、何度も内容を見ることになります。私はその時間も勉強だと思っています。完成した語呂だけ見ると変な一文かもしれません。でも自分には「ここで悩んで、この言葉にした」という経緯が残ります。試験会場で思い出すのは自分なので、まず自分が使えるかどうかです。
例(法律ではなく、買い物メモで)
卵、ネギ、牛乳を買って帰るとします。最初の音を取ると「た・ね・ぎゅ」。ここから「タネをぎゅっと握る」としてみます。「た」で卵、「ね」でネギ、「ぎゅ」で牛乳。
うまい語呂ではありません。でも三つの対応が自分で分かれば、使い道はあります。ここで元の買い物メモを隠して、「タネをぎゅっと」から三つ出てくるか試します。出てくれば、一度は戻れたということです。
ただ、この語呂は読んでいる方から見れば「人が作ったもの」、つまり私のおにぎりです。覚えてほしいのは語呂そのものではなく、作る → 隠す → 戻れるか試すという順番のほうです。
記憶の研究にも近い話があります。思い出すための手がかりを自分で作った場合と、別の人が作った手がかりを使った場合を比べた実験で、自分で作った手がかりのほうがよく思い出せたという結果があります。自分には分かるつながりが、他人にも同じように通じるとは限らないということです。ただしこれは、日本語の語呂合わせで行政書士試験の点数が上がることを確かめた研究ではありません。人に伝わるように工夫された手がかりが役立つという結果もあります。だから「人の語呂はダメ」という話ではありません。
語呂を言えても、問題に答えられるとは限りません

気をつけたいのは、語呂を言えることと、問題に答えられることは別だということです。「タネをぎゅっと」は言えるのに、何を買うのか分からない。それでは、スーパーでタネを握って終わってしまいます。
試験でも、次の三つまで一度確かめてください。
- 元の言葉に戻れるか
- その言葉の意味を説明できるか
- 問題の場面で使えるか
特に法律の勉強では、誰が、誰に、いつまでに、どういう条件で、というところが大事です。音を合わせるために条件を一つ落とすと、覚えやすくても答えは違ってしまいます。例外を省いたなら、例外が別にあることも分かるようにしておく。
語呂ができたら、テキストの正確な記載に戻る。そのうえで一問解く。 語呂を作れたところで達成感はありますが、そこで終わらせない。問題に戻るところまでが一組です。
すでに覚えられているところまで、全部作り直す必要はありません。毎回一つだけ抜ける、似た言葉を取り違える。そういう場所を一か所だけ選びます。2〜3分考えて難しければ、比較表にする、短い一文で説明する、くらいで区切っていいと思います。ずっと語呂を考えて、今日は問題を一問も解いていない、となると、語呂合わせの大会の準備になってしまいます。
作った直後だけでなく、次の日にも元の言葉を隠して出してみる。 出なければ、どこでつながりが切れたかを直します。
替え歌にすると、1年たっても言えました

もう一つ、少しコストがかかる方法があります。AIで歌を作ってくれるウェブサービス(Suno)を使って、定義をそのまま歌詞に入れて替え歌にする方法です。
私は一回だけ、行政法の公定力と自力執行力の定義で作ったことがあります。試験から1年たった今でも、歌を思い出しながら言えます。
- 公定力=違法な行政行為であっても、当然無効である場合を除き、権限を有する機関によって取り消されるまでは、有効なものとして扱われる効力
- 自力執行力=行政行為によって命じられた義務を国民が任意に履行しない場合に、法律に基づき、行政庁が自ら義務者に強制執行し、義務の内容を実現する効力
作るときのコツは、アップテンポの曲にすることです。バラード調だと思い出すまでが長いので、スカくらいのテンポがちょうどいい。ロックやラップでもいいと思います。そして、人が作った歌より自分で作った歌のほうが、はるかに覚えやすいです。
まとめ
- 人の語呂がスッと入るなら、そのまま使えばいい
- 語呂を覚えるためにまた暗記しているなら、覚えるものが一個増えている
- 作るときは「何を覚えるか見直す → 頭の一文字を取る → 元に戻れるか確かめる」
- 作ったら隠して戻れるか試し、テキストの正確な記載に戻り、最後に一問解く
- 法律では「誰が・誰に・いつまでに・どういう条件で」を語呂のために落とさない
- 定義を替え歌にする方法もある。アップテンポの曲がいい
よくある質問
Q. 予備校の先生の語呂合わせは使わないほうがいいですか? A. 思い出せて問題も解けるなら、そのまま使えばいいと思います。どうしても頭に入らないところだけ、自分の言葉に変えてみるくらいの使い方で十分です。
Q. 語呂を作るのに時間をかけすぎてしまいます。 A. 一か所につき2〜3分考えて難しければ、比較表にするか、短い一文で説明する形に切り替えていいと思います。
Q. 語呂を覚えたのに、問題が解けません。 A. 語呂を言えることと問題に答えられることは別です。元の言葉に戻れるか、意味を説明できるか、問題の場面で使えるかまで確かめ、最後に一問解くところまでを一組にしてみてください。
