予備校のサイトで、ある合格者の体験記を読みました。社会人で、残業も多い。何度も落ちて、家族からは「もうやめなさい」と言われ続けていた。それでも家族には「趣味でやっているんだよ」と言いながら、本気で勉強を続けて、予備試験に受かった方の話です。
読んで、すごく刺さりました。同時に、少し怖くもなりました。
「趣味でやっている」と言いながら本気だった人

体験記の方は、旧司法試験のころから勉強を続け、2017年に予備試験に受かっています。10年以上、ほかの趣味をつくらずに続けてきた方だと思います。
私がいちばん引っかかったのは、勉強のやり方ではなく、家族とのやりとりのところでした。家族から「やめなさい」と言われ続ける。それでも「趣味だから」と言って続ける。そして受かった。
受かったのだから、本当によかったと思います。ただ、これはかなり危ない橋を渡っています。家族から「やめなさい」と言われ続けるのは、勉強のことが家族に伝わっていない、ということでもあるからです。
「社会人は失うものがない」の中身

体験記を読みながら思い出したのが、伊藤塾の塾長のコラムです。社会人が司法試験を目指すメリットの一つに、「失うものがない」が挙げられています。
私の読み取りでは、中身はこうです。
- 社会人には、すでに仕事と生活の基盤がある
- 受からなくても、今の仕事を失うわけではない
- 法律の勉強は、仕事や日常生活にも役に立つ
- だから、司法試験の勉強はローリスク。場合によってはノーリスク
独身の社会人なら、その通りだと思います。仕事は残るし、勉強したことも無駄にはなりません。
家庭があると、失いうるものがある

でも、家庭があって、仕事もしている社会人にとっては、難しい試験はやはりリスクがあります。
| 独身の社会人 | 家庭のある社会人 | |
|---|---|---|
| 仕事と生活の基盤 | 失わない | 失わない |
| 勉強した知識 | 仕事にも生きる | 仕事にも生きる |
| 家族との関係 | 一人で決められる | 勉強の時間は家族との時間から出ている |
| 心と体 | 自分の問題 | 崩れたら、家族も巻き込む |
実際に、勉強を続ける中でうつ病になった方もいると聞きます。「失うものはない」とは、とても言えません。
体験記の方は、家族とのやりとりをどうにかつなぎながら、ほかの楽しみを全部捨てて合格を勝ち取りました。これは本当に、その人の心の強さ次第なんだと思います。勝てば官軍です。でも、負けたときにどうなるかは、誰にも分かりません。
私が決めていること

私も、家庭のある社会人の受験生です。あの体験記の方のようになりたいとは思います。でも、同じ橋を渡りたいとは思いません。
だから、勉強を始めるときに決めたことがあります。家族を犠牲にする勉強はしない。そして、何をどこまでやるのかを、家族に話しておく。「趣味だから」で済ませない。
勉強の時間も、家族の時間から取らないように考えました。夜中まで起きて、朝は子どもを学校へ送ってから仕事、という毎日では、勉強の時間は家族の時間から削るしかありません。そこで2026年の1月に、寝る時間と起きる時間を少しずつ早めて、朝に勉強の時間を作る形に変えると決めました。詳しくは、予備試験の勉強を始めたときの記事に書いています。
社会人の受験に「失うものはない」と言えるかどうかは、人によって違います。言い切れるのは、家族と話ができている人だけだと、私は思っています。
この話を動画で見る
もとにした動画:「社会人司法試験に「失うものはない」は本当か?資格試験で失うもの」(YouTube・2026年6月25日)。予備校の記事の中身は、私が動画の中で読んだときの要約です。
予備試験と勉強の続け方の記事
- 予備試験の勉強を始めました。行政書士に三回落ちたあとの、44歳の秋に:「家族を犠牲にする勉強はしない」と決めて始めた、予備試験の記録
- 行政書士の勉強を、誰にも言っていない人へ:勉強していることを、誰にも言っていない人へ
- 学習強度は筋トレ式に上げる:社会人は勉強の強さをいきなり上げない、という話
- 先に受かっていく人を見るのがしんどい:先に受かっていく人と、自分を比べない話
