本試験前に伊藤塾の模試でかなり高い点数を取り、記述もほぼ完璧に書けたつもりで本試験に臨んだことがあります。結果は、自分が思っていたほど甘くはありませんでした。
行政書士試験の周りには、アドバイスが溢れるほどあります。私は、アドバイスの価値を決めるのは、言った人の合格スコアの高さではなく、その人とあなた自身の条件がどれだけ近いかだと考えています。
ちょっと周囲に敵を作るようなタイトルですが、あえてそのまま書きます。行政書士試験の受験生であれば、SNSや動画で「こうすれば受かる」というアドバイスを一度は目にしたことがあると思います。今日はその見極め方について、私が思っていることを書いておきます。
合格直後の「万能感」は、いわばバグだと思っています

本試験が終わった直後、まだ合格発表前なのに「記述抜きでもう合格確定です」というような投稿がSNS上に増えてくる時期があります。180点以上、170点以上といった高得点を取った人たちが、自分のやり方こそ正解だ、自分には合格を語る資格があると、万能感に浸っていることがあります。
私自身は、そこまで自信満々になったことはあまりないのですが、模試の手応えと本試験の結果は、必ずしも一致しないことは身をもって知っています。
こうした合格直後の万能感は、ドーパミンが出まくっている状態に近いのだと思います。本人も気づいていないと思いますが、たまたま自分に合ったやり方と、いい点数が取れた気持ちよさが重なって、「自分は万能の神だ」と言わんばかりの状態になってしまう。これは人間なら誰にでも起こり得ることで、特別おかしな人がそうなるわけではないと思っています。
なぜ危険なのか。条件が違えば「再現性」も変わります

一部の合格者の「こうすれば受かる」という言葉をそのまま信じるのは危険だと、私は思っています。理由は単純で、その人とあなたとでは、まず条件が違うからです。
年齢が違います。学歴も違うでしょう。職種も違います。自営業なのか、公務員なのか、仕事が忙しい会社員なのか、専業主婦・主夫なのか。子どもがいるかいないか、いるとしてその年齢がどれくらいかでも、使える時間はまったく変わります。0歳や3歳くらいまでは本当に手がかかりますし、小学校に上がればPTA活動、中学校に上がれば部活動の対応と、何かと時間を取られる場面が続きます。高校生くらいになってようやく手が離れ始め、本当に自分の時間が取れるようになるのは、子どもが大学生や社会人になったあたりからだという印象を私は持っています。ほかにも、配偶者の体調や、親の介護が必要かどうかなど、社会人受験生の事情は一人ひとり本当に多様です。
年齢、学歴、職業、周囲の環境、子どもの有無。可処分時間も、勉強できる時間帯も、人によってまったく違います。「自分はこうして受かったから、あなたもこうすれば受かる」という言葉には、再現性があるとは限りません。それを100%信じ切ってしまうのは、自分の条件の特殊さを自覚していないだけなのではないか、と私は思っています。
それでも「ダイヤの原石」のようなアドバイスはあります

とはいえ、合格者の話が全部ゴミというわけではありません。何回でも言いますが、全部が全部無価値なのではなく、自分と近い条件の人のアドバイスであれば、話はまったく変わってきます。
こういう勉強の仕方をした、こういう隙間時間の使い方をした、暗記カードはこう使えばよかった。具体的であればあるほど、自分にとって「こういう発見はなかったな」「これは目から鱗だな」という気づきがあったりします。それはダイヤの原石のような価値があるアドバイスだと思います。
合格者のただのマウントなのか、それとも本当に価値のあるアドバイスなのか。それを見極めるのは、結局のところ自分自身しかいないのだと思っています。
SNSで加速していく極端な言説

SNS上のアドバイスは、エスカレートしていくと、まるで小学生の喧嘩のように「強いことを言ったもん勝ち」のような雰囲気になっていくことがあります。行政書士試験は3ヶ月で合格できる、独学で十分、六法もいらない、テキストもいらない、最後には過去問だけで十分、という言説まで出てきます。
そんなやり方で確実に受かるような人は、なかなかいないと私は思っています。再現性はゼロに近いというより、ほぼゼロだと感じています。
合格者インタビューは、マウントでなければ見る価値があります

ここまで厳しいことを書いてきましたが、合格者の体験談そのものを否定したいわけではありません。私自身、合格者の体験談にはかなり救われました。
本試験に向けて、私は10月にかなり頑張って勉強しました。働きながらではありますが、160時間ほど勉強に充てたと思います。それでも11月に入るとモチベーションが下がってきて、勉強時間は50時間ほどまで落ちてしまいました。そういうときに、アガルートがよく動画にしている合格者インタビューを見ると、「よし、頑張ろう」という気持ちになれました。
合格者の体験談やインタビューは、マウントにならない程度であれば、十分に見る価値があると思います。自分のやる気が下がっているときに、それを引き上げるきっかけになってくれるからです。
この話を動画で見る
もとにした動画:「アドバイスの価値は。行政書士受験生が選ぶべきアドバイス」(YouTube・2025年12月4日)。
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